「働きながら税理士資格って取れるの?」
「5科目取得するのに何年かかる?」
税理士資格は科目合格すると生涯有効であることから、資格の学校などでは「働きながらでも取得可能!」とアピールしていることもあるかと思います。
しかし、ただでさえ忙しい社会人が、「働きながら税理士資格に必要な5科目に合格できるのか?」
「合格できたとしても何年かかるのか?」と心配になることもあると思います。
私自身、税理士の勉強を始める前はとても不安に思っていました。
結論としては
「働きながらでも5科目合格は可能!ただし決して楽な道のりではない」
と思います。
私は正社員として働きながら7年がかりで(うち4年間はBig4税理士法人の勤務で繁忙期はかなり多忙な中)5科目合格を果たしました。
7年もかかったと聞いて「そんなに時間かかるなら無理だよ・・・」と思われた方もいると思います。
私自身、思い返すと「こうすればもっと早く合格できたかも・・・」と思うこともあります。
この記事では、働きながら効率的に勉強を進めるためのコツ、私の失敗談から「これはやらない方がいい!」と感じたことをお伝えします。
7年間試行錯誤しながら税理士試験に向き合った私だからこそ伝えられる社会人が税理士資格を取得するためのノウハウをお伝えすることで、皆さんが最短で合格できる一助になれば幸いです。
働きながら効率的に勉強を進める4つのコツ
コツ1 何よりも「復習」が大事!忘却曲線に沿った復習を
税理士試験はとにかく覚える量がとても多いです。
例えば法人税法では、税法の条文を理解し暗記する「理論」と法人の所得金額の計算方法を学ぶ「計算」に分かれます。
「理論」では、A5版の理論集(資格の学校TACでは「理論マスター」と呼んでいます)のおおよそ見開き1ページが1題となっており、それを最低でも80題ほど丸暗記することが求められます。
「計算」では、各論点における計算方法を理解し、問題をみて速く正確に解くことが求められますが、計算問題集だけでも4冊ほどあります。
膨大な量で、一度解いただけではすぐに忘れてしまうので、何度も何度も復習して、記憶力を定着させることが重要です。
社会人は勉強に充てられる時間が限られていますが、確実な知識を蓄積するためにも、優先的に復習に取り組むべきと感じています。
復習の流れは以下のとおりです。
- 理論を暗記したり、計算の方程式を覚えたりしたら、その範囲と日付を記録する
- 1日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後のToDoリストに1で学習した範囲を記載する
- 復習の日がきたら、最も優先して復習に取り組む
上記セットを本試験までに2セット(要はトータル10回復習)できると理想的です。
私が勉強していた当時は手帳で復習のタイミングを管理していましたが、今は忘却曲線に沿って復習タイミングを通知してくれる便利なアプリもあります。
コツ2 「間違いノート」は絶対作る!最強の参考書の誕生
「間違いノート」は主に計算の勉強の際に使うものとなります。
計算問題を解いていると必ず間違う問題がでてきます。その際に作成するのが「間違いノート」です。
税理士試験では確実に得点できるものを確実に積み重ねることがとても重要です。
間違った問題を1つずつ「できる問題」にしていくことで確実に得点できる問題を増やしていくことで合格に近づきます。
間違いノートに記載する項目は以下のとおりです。
- 勉強した日時、問題集の問題番号
- 間違えた原因となる事項(例:特別償却の公式を覚えていないために間違った場合はその公式)
- (必要であれば)その計算の論点を解説した教科書のページやスクリーンショット
間違いノートは、もちろんノート、ルーズリーフなどの「紙」で作成してもいいのですが、もしiPadをお持ちなら「Goodnotes」というアプリがおすすめです。
例えば、特別償却に関する公式を覚えていなかったために間違った場合、間違いノートにはその公式を記載する必要がありますが、 Goodnotesがあれば教科書の該当部分を写真にとって、それを貼り付けることができるので、効率的に間違いノートを作成することができます。
間違いノートを作成したら、コツ1でご紹介した復習方法に沿って復習を続けることで類似問題が出たときも確実に得点できるようになります。
コツ3 王道だけど社会人は「スキマ時間」の活用が命
よく言われることですが、社会人はまとまった時間を確保することが難しいため、いかにスキマ時間を活用するかが重要だと思います。
私は以下のように勉強時間を確保していました。
上記のとおり優先的に復習に充てて、復習の時間を最低1時間は確保するようにします。
21時30分からの2時間は繁忙期はどうしても確保できなかったり、確保できる時間が減ったりしてしまいますが、朝からランチタイムまでのスキマ時間を活用することで復習の時間を確保し、過去に学習した内容を忘れないようにすることが可能です。
コツ4 たとえ勉強できていなくても「テストや模試は必ず受ける」
予備校に通っていると、毎回の授業でテストがあったり、定期的に実力テスト等が実施されます。
これらは勉強ができていない時に受けるのは、非常に億劫です。なので、「勉強した後に受けるようにしよー」と後回しにしてしまいがちです。
ただ、恐らくたいていの場合、この「勉強した後に受ける」は永遠に訪れません。
勉強が追いついていなくて、悪い点数を取ることが確実であったとしても、とりあえず受けて、間違えた問題(ほとんど間違えてしまうかもしれませんが)を確認し、復習にまわすべきです。
できない自分を確認するのは辛いことですが、私は税理士試験の勉強を通じて、「逃げない」を合言葉になるべくテスト・模試は受けるようにしていました。
失敗談から学ぶ!これはやめた方がいい2選
NG1 同じ年に2科目以上受ける
私自身、同じ年に2科目受験したことがありますが、2科目同時に合格したことはなく、どちらも中途半端になってしまい2科目とも不合格となるか、1科目だけ合格することしかありませんでした。
私が感じている2科目以上を同一年に受験するデメリットは以下のとおりです。
- 社会人にとっては、2科目分の授業を受講する時間を確保することすら難しい
- 勉強すべき時間の確保が難しいうえ、2科目分の復習等のスケジュール管理をしなければならず精神的負担が大きい
1つ目のデメリットは、2科目分の授業を受講する時間を確保することが難しいことです。
例えば法人税法と消費税法の2科目を受験するとなると、法人税法は週に2コマ、消費税は週に1コマで合計3コマの授業を受講する必要があります。
1コマ2時間30分として、週に7時間30分を授業を受けるために確保しなければなりません。
仕事に余裕がある時期はいいかもしれませんが、繁忙期にそれだけの時間数を授業に充てることは難しい場合もありますし、その分復習に充てられる時間が減ってしまいます。
2つ目のデメリットは、2科目分の勉強時間を確保することが難しいうえ、スケジュール管理も2科目分となり、精神的負担が大きいことです。
2科目分の授業以外の勉強時間を確保することが難しいことはもちろんのこと、それぞれの教科について復習のスケジュールを考えたり、新規の理論や計算に取り組むスケジュールを考えることは、精神的な負担が大きいです。
1年を通じて仕事に余裕があり、十分な勉強時間を確保できることが確実な場合は2科目同時並行も可能かもしれませんが、そうでない場合は1科目ずつ受験した方が確実と思います。
NG2 応用問題に手を出しすぎる
本試験が近づいていくにつれて、「応用問題」や「余裕のある人向けの+α」の内容が増えていきます。
授業で紹介されると「これも覚えておかないと、周りに差をつけられるかも・・・」と不安になります。
しかし、税理士試験は
基本的な問題を着実に得点できる人から受かっていきます。
応用問題で得点できるより、基本的な問題を落とさないことの方が重要だと言われています。
もちろん応用問題を得点できることも素晴らしいのですが、そちらへの勉強にばかり気をとられて、基本的な内容の復習が疎かになってしまっては本末転倒です。
私自身、法人税法の受験で直前期に+αの内容に手を出しすぎて、本試験で得点源であるはずの特別償却の計算を誤ってしまい、不合格となったことがあります。
特別償却の計算を誤ったのは、勉強していたはずの内容の復習が疎かになったことが原因と分析しています。
復習の大切さを身にしみて実感した年でした。
それ以後は、
100の曖昧な知識より、1の確実な知識
という言葉を意識して学習に取り組みました。
税理士試験を振り返ってみても、やはり受験生の6割が得点できるであろう問題を着実に得点することが合格への近道であったと強く実感しています。
まとめ
この記事では、働きながら税理士資格を取得するためのコツやNG行動について、私の経験をもとにお伝えしました。
働きながら税理士資格の勉強をすることは決して楽なことではなく、家族や友人と過ごす時間が減ってしまったり、やりたいことを我慢して勉強しなければならないことも多いです。
最短距離で合格を勝ち取ることはプライベートの時間の充実にもつながると感じています。
私は7年間かかってしまいましたが、上記でご紹介したコツやNG行動にもっと早く気づいていれば、もっと早く合格できたかもしれない・・・と感じることが多々あります。
この記事に書いてある内容が1つでも皆さまの合格へつながると幸いです。
なお私は税理士試験5科目に合格した後も仕事をしながら、子どもが産まれたあとは子育てもしながら、英語学習等にも取り組んでいるので、その際に培ったスタディハックもお伝えしていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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